不動産調査の精度を劇的に変える!プロの実務に「GNSS測量」を導入すべき理由
・不動産の売買を検討している人
・不動産調査を不動産会社や鑑定事務所で担当している人
・建築事務所や税理士事務所などで不動産について調べている人 などにおすすめの内容です。

「自分(お客様)の土地のある程度正確な大きさを知りたい…」

「敷地の面積や長さを、とにかくズレなくきっちり測りたいなあ…メジャーや巻尺はアナログでちょっとダサいなあ…」

「でも、測量士や土地家屋調査士に依頼する費用(お金)はかけれないし、そこまでの精度はまだ必要ないから困ったなあ・・・」
正確に土地の大きさや長さを測るには、、、
「三脚を立てて、な機械を覗いて測って……」
「プロのおじさん達は夏は暑いなか作業着で大変そうだな…」
という難しそうな現場風景を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

もちろんそれは測量士や土地家屋調査士が行っている従来からの伝統的な手法ですが、今、測量の世界では「宇宙からの電波」を使って、信じられないほど高精度かつスピーディかつ効率的に土地を測る技術が盛んになっています。

それが「GNSS(ジーエヌエスエス)測量」です。
目次
そもそも「GNSS測量」って何?
GNSSとは、「全球測位衛星システム(Global Navigation Satellite System)」の略称です。
…と書くと初っ端からから小難しく聞こえてしまいそうですが、私たちが普段スマホの地図アプリやカーナビで使っている「GPS」のパワーアップ版だと思ってください。

GPS(※アメリカの衛星)だけでなく、日本の「みちびき」やヨーロッパ、ロシア、中国などの様々な衛星から発射される電波をキャッチして、地球上の「今いる位置」を極めて正確に求める技術です。
GPS …アメリカ
GLONASS…ロシア
Galileo…ヨーロッパ共同体
北斗(BeiDou)…中国
みちびき(QZSS)…日本
(※覚えなくていいです。笑)
スマホのGPSと何が違うの?
「スマホのGPSだって位置はわかるじゃん」と思いますよね。
しかし、その精度には決定的な違いがあります。
- スマホや車のGPS: 数メートル〜十数メートルのズレがある(大体の場所がわかればOK)
- GNSS測量: わずか「数センチメートル」あるいは「数ミリメートル」の誤差に抑えられる
境界線の数センチが重要になる土地の測量において、この「ミリ・センチ単位の精度」が出せるGNSS測量は、まさに最強の味方なのです。
GNSS測量がおすすめな「3つの理由」
従来の測量方法(トータルステーションと呼ばれる機械などを使う方法→※三脚にカメラみたいなのを据え付けて、道端でたまに見かけるアレ)と比べて、GNSS測量には以下のような劇的なメリットがあります。
① 圧倒的なスピードと手軽さ
従来の測量では、A地点からB地点を見通せる必要がありました。
そのため、間に障害物(建物や門や柵などの構築物、車など)があれば何度も機械を動かす必要があり、時間も人手もかかっていました。
GNSS測量なら、空が見えていれば(衛星からの電波が届けば)一瞬で位置がわかるため、作業時間が大幅に短縮されます(※横(水平間)の障害物はあってもいいですが、空との間では見通しが必要です)
観測に時間がかかる測り方もありますが、言葉のとおり秒で測ることも可能です。
② 離れた場所や広大な土地でもズレない
どれだけ広い土地でも、宇宙にある衛星を基準に測るため、測れば測るほど誤差が累積していくということがほぼありません。
広大な敷地や、遮るもののない農地などの面積を測るには最高のパフォーマンスを発揮します。
(メジャーや巻尺は測れる範囲ならいいですが、土地や道路は結構大きいのが普通ですからね…)
③ 少人数若しくはワンマンでの測量が可能
従来型の測量は「機械を覗く人」と「的(ターゲット)を持つ人」の最低2人が必要でしたが、GNSS測量なら最新の機器を使えば1人(ワンマン)でサクサク測ることも可能です。
(人件費が浮く!助かる!)
従来の方法と「GNSS測量」の比較
それぞれの特徴を簡単な表にまとめました。
| 項目 | 従来の測量(トータルステーション等) | GNSS測量 |
| 得意な場所 | 建物に囲まれた場所、森の中、屋内 | 開けた場所、広大な土地、農地 ※高層ビルや電波塔などが近くにあれば誤差が生じることがある(マルチパス) |
| 天候・時間 | 視界が悪いと測れない(霧や夜間など) | 視界が悪くても電波が届けばOK |
| 作業人数 | 基本的に2人以上 | 1人でも作業可能 |
| 測量のスピード | 障害物が多いと時間がかかる | 非常にスピーディ |
💡 ココがポイント!
測量の世界では、どちらが優れているかというよりも、「建物が密集した市街地は従来の方法」「広くて空が見える場所はGNSS測量」というように、お互いの得意分野を組み合わせて使っているようです。
実際どれくらい凄いのかまだイメージしづらい…?
「ミリ・センチ単位と言われても、なんだかピンとこない」
「本当に宇宙からの電波だけで、そんなに正確に測れるの?」 と思われる方もいるかもしれません。
そこで、私が実際にGNSS測量機器を使って、ある土地を測定したときの実例をご紹介します。
不動産の登記簿に記載されている面積(公募面積)と、最新のGNSS機器で私自身が現地を測った面積(実測面積)を比べてみました。
以前、「~間口を計測してみました」の記事で、1辺の長さだけ測定した件を書きましたが、そういや面積まで測っていなかったなということで、今回は面積Verです(※今回の測定土地は個人的な筆者の縁のある場所になります)。
①航空写真と公募面積
まずは、対象土地の航空写真と公募面積をご覧ください。
(※測定土地は以前まで青い屋根の平屋建木造家屋が建っていましたが、老朽化のため取り壊され調査時点では更地でした。)


②実測の様子





※使用機材はビズステーション株式会社の「Drogger」で、機材を取り付けてるポールは株式会社マイゾックスのRTKポールになります。
※また、使用機材は国土地理院指定の1級GNSS測量機です。


③結果(実測面積)は・・・

公募面積:381.21㎡(※地籍調査済み)
実測面積:381.24㎡
なんと、誤差「0.03㎡!!!」
これ、作業時間10~15分程度で、一人(独りぼっち)で測りました。(笑)
GNSS機器を持って土地の角(境界点)に立ち、ボタンをピッと押すだけ。
これだけで、上空にある何機もの衛星が、手元にある機器の位置を瞬時に計算し、「今いるのは、地球上のここです!」と正確に教えてくれます。
従来からある測量技術で測量された公募面積と、現代の宇宙テクノロジーを使ったGNSS測量が、ここまで近似したのです。
GNSS測量の威力がなんとなく伝わったのではないでしょうか?
不動産調査・相続評価…「プロの実務」にこそGNSSを推奨したい理由
ここまでGNSS測量の手軽さと正確さをお伝えしてきましたが、この技術は、日々不動産を扱う「不動産・税務のプロフェッショナル」の実務効率を劇的に変えるポテンシャルを秘めています。
① 不動産売買などにおける「事前の現地調査」に
不動産の売買仲介や鑑定評価の現場では、まず、現場の土地がどんな形をしていて、実際の大きさがどれくらいあるかを正確に把握する(現況把握)必要があります。
- 不動産取引や鑑定の前に、GNSSでサッと現況を計測(地籍調査が済んでいなかったり、地積測量図がないなんてザラにありますからね)。
- 「図面と現地で、面積に大きな食い違い(縄伸び・縄縮み)がないか」を最初の段階で超高精度に見極めることができます。 これにより、後々のトラブルや「思っていた面積と違った」という重大なリスクを未然に防ぐことができます。
② 税理士事務所における「相続時の財産評価(土地評価)」に
相続税の申告において、最も複雑で税額を大きく左右するのが「土地の評価」です。
財産評価基本通達に基づき、路線価をベースに評価を行いますが、以下のような土地は「現地をどう測るか」で評価額がガラリと変わります。
- 縄伸び、縄縮みの疑いがある土地: 実際の面積がどれくらいあるかは納税額や納税リスクに直結する。
- 利用区分:土地評価は地目及び利用区分ごとの評価が原則であり、1筆を数単位に分ける必要があったり、数筆をさらに数単位に分ける必要がある場合がある。
- がけ地: 擁壁や崖の範囲をきっちり特定しなければならない。
- 市街化区域内の農地:盛土高など宅地造成費の計算が必要。
これらを「だいたいのメジャー計測」や「不正確な図面からの目測」で評価してしまうと、税金を多く払いすぎたり、逆に過少申告でペナルティを受けたりするリスクが生じます。
税理士事務所などにおいて、GNSSを使って「宇宙基準の正確な現況データ」を自ら、あるいは調査段階でサッと取得できれば、客観的で誰に対しても(税務署に対しても)一歩も引かない、非常に強力なエビデンス(証拠)に基づいた土地評価が可能になります。
💼 ビジネスの現場での最大のメリットは「コスパ(コストパフォーマンス)」と「タイパ(タイムパフォーマンス)」
プロの調査において、何よりありがたいのは「1人で現地に行って、数分で高精度なデータが持って帰れる」というスピード感です。
人手不足が叫ばれる士業・不動産業界だからこそ、時間と費用をかけずに、かつクオリティの高い調査・評価を行う必要があります。
そんな中、GNSS測量などの科学技術が新たな付加価値を生むきっかけになると筆者は感じています。
「土地を見ても分からなければ空を見上げる。空からの電波が土地のことを教えてくれる。」
今回はここまでです。
お読みいただきありがとうございました。

