【日照阻害】利用価値が著しく低下している宅地の評価①
財産評価の分野で「利用価値が著しく低下している宅地の評価」という評価減適用規定(※厳密には通達ではなく、タックスアンサー)がありますが、なかなか認められず四苦八苦している事業所様も多いことかと思います。
『次のようにその利用価値が付近にある他の宅地の利用状況からみて、著しく低下していると認められるものの価額は、その宅地について利用価値が低下していないものとして評価した場合の価額から、利用価値が低下していると認められる部分の面積に対応する価額に10パーセントを乗じて計算した金額を控除した価額によって評価することができます。
1 道路より高い位置にある宅地または低い位置にある宅地で、その付近にある宅地に比べて著しく高低差のあるもの
2 地盤に甚だしい凹凸のある宅地
3 震動の甚だしい宅地
4 1から3までの宅地以外の宅地で、騒音、日照阻害(建築基準法第56条の2に定める日影時間を超える時間の日照阻害のあるものとします。)、臭気、忌み等により、その取引金額に影響を受けると認められるもの』
騒音の10%減
騒音については、
①土地の評価上適用すべき路線価には騒音要因がしんしゃくされていないこと
②土地において列車通過時に実際に騒音が生じていること
③土地の所在する自治体は、本件土地の固定資産税評価額の算定上、鉄道騒音補正を適用したこと
という3要件を満たしていれば(立証できれば)、10%減額評価を認めた最近の事例(令和2年6月2日裁決)があるので上記の中では比較的主張しやすい項目だと思います。
※「固定資産評価基準」には騒音補正に関する項目は定められていませんので、自治体が独自に使用している内部規定の「固定資産評価取扱要領」(※自治体により名称が異なります)を入手・場合によっては開示請求して鉄道騒音補正があるか否かをご確認ください。
日照阻害
あとはほぼ抽象的なのですが、1つだけ具体的に示せそうなものがありますが、お分かりでしょうか?
見出しにも書いておりますが、『日照阻害(建築基準法第56条の2に定める日影時間を超える時間の日照阻害のあるものとします。)』です。日照阻害を生じさせないようにするための建築基準法上の規制を「日影規制」と言いますが、筆者が説明すると非常に長く、かつ、分かりにくくなってしまいますので、分かりやすく説明してくれている方のサイトをご覧ください。
「で、どうやって調べるの?」
「建築士に頼まないといけないんじゃないの?」
というお声が聞こえてきそうですが、ご安心ください。
上記記事の「【PLATEAU View】」が一つの手がかりになります。
公益社団法人不動産流通推進センターがUPしてくれている「PLATEAUを活用した日照の確認」をご覧ください。
不動産に関するオープンデータを活用した日照状況の確認方法を簡単に説明してくれています。
まずは対象地の冬至日の日照状況を、肌感で調べてみてください。この段階では、影が対象地に長時間かかっていそうか?というところまでで結構です。
大まかに状況が確認できれば、
・対象地の図面(地積測量図や地図(14条地図)
・影を落としている隣地等の敷地図面(地積測量図や地図(14条地図)
・影を落としている建物の建築計画概要書や建物図面
・対象自治体の日影規制に関する公表資料
等を収集してください。
材料がそろえば次はCAD(無料ソフト)で作図の段階に入ります。
CAD作図の部分は次の記事にてご説明します。
(間に別記事を挟むかもしれません)