【どうする不動産業界?】登記受付帳の制度変更による危機…令和8年10月1日施行!

1.不動産登記規則の改正~プライバシー保護の要請?~

2026年の不動産登記規則改正に向けて、パブコメの募集が行われていました(※受付終了:8月8日まで)。

Information

パブコメの意見募集結果が公開されています!(10/10)
PDFで132ページ…皆様の関心が非常に高いことが伺えます。
ただ、これらの主な賛成意見は司法書士であると推察されます。
業界団体間の議論ってあったんでしょうか?最初から既定路線で進んでいるような印象を受けます。
反対派の意見の方が、不動産登記法や情報公開法の制度趣旨、経済効果の波及の程度からして理屈が通ってるような気がするんですが……

この省令案により、登記受付帳の運用が大きく変わろうとしています
登記受付帳って何?」という方は以下の記事をご覧ください。
※不動産会社のミカタさん(ミカタ株式会社)の情報はクオリティが高いので、他の記事やページも結構おすすめです。

これまで、相続や売買による登記が法務局に申請されると、その内容は登記受付帳に記録され、行政文書として一般に開示請求が可能でした。これを利用し、一部の不動産業者や名簿業者が情報を取得・営業利用している実態がありました。

登記受付帳には、申請の目的不動産の所在といった情報が記録されており、これを通じて「相続や売買が起きた不動産」をリストアップすることが可能になります。こうした情報を基に、不動産登記直後に所有者へ売却勧誘、不要品回収や相続関連業者からのDMが届くなどのケースが多数報告され、司法書士への疑念・不信感につながる苦情も出ています
(※この点については、司法書士自身があらかじめ相続登記等をしたらDMがくるようになっている制度設計と実態を伝えてあげるべきだと思いますが…)。

実際、全国の司法書士に対するアンケートでは、約4割が「個人情報の流出を心配する相談」を受けた経験があると回答。
背景には、法務省に対する行政文書開示請求の約6割以上が登記受付帳関連という実態があります。

【東京司法書士会の声明(令和7年7月2日)】↓↓↓

2.制度改正の要点と業界への影響

こうした事態を受け、法務省は2025年7月、「不動産登記規則等の一部を改正する省令案」を発表。

主な変更点は次のとおりです:

  • 登記受付帳に記録される項目から「登記の目的」「不動産所在事項」を削除
  • 対象となる省令は2026年10月1日施行予定

この変更により、登記の原因・中身が外部から把握しづらくなる一方で、不動産及びその関連業界の現場では新たな情報収集手段が求められることになるかと思われます

ただ、相続登記等の情報が閉ざされることで、不動産流通が滞れば、登記のニーズそのものが減少するリスクもあります。
それは巡り巡って司法書士自身の業務量減少につながるのではないでしょうか…

みなさんはどう思われますか?

<追記:R7.8.6>

東京司法書士会の意見が公表されています。

本改正案では、施行期日を令和8年10月1日としているが、これを前倒しし、令和7年10月1日、遅くとも令和8年4月1日までに施行することを求める。

長野県司法書士会の意見

3.私見

・相続登記は義務化させる一方で、不動産流通を阻害するような省令改正は「取引の安全と円滑に資することを目的」とする不動産登記法の制度趣旨に反する、行政権の裁量を超えた濫用にあたるのではないか(登記受付帳が重要な役割を果たしていることを知っているはず)?
・賛否両論あるような論点は、得てして制度改正を求める側の意見が大きくなりがち。現状制度維持の立場にある側は、制度改正があることを知り、制度改正に反対の声をあげなければ、先出しした方の要望が通ってしまいやすい。
サイレントマジョリティ問題
・深い理由は分からないが、司法書士界隈と法務省の利益が一致する方向で動いた?
・不動産登記法の所管は法務省なので、不動産業者側の意見は通りにくいのかも…
・「膨大な件数の受付帳に対する開示請求が行われており、法務局の本来業務に支障…」
予算を引っ張ってきて対応できるようにするか、行政文書として開示請求対象にするのではなくて、受付帳自体を登記事項証明みたいに手数料払えば見れるようにすればいいだけでは?
行政手続法第42条 ”命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定める場合には、意見提出期間内に当該命令等制定機関に対し提出された当該命令等の案についての意見を十分に考慮しなければならない。”
十分に考慮してる?

4.Grokによる整理・まとめ

賛成派の主な意見まとめ

賛成派の意見は、主に個人プライバシーの保護と行政効率化の観点から支持されており、205件の意見のうち多数を占める傾向が見られます(集約された項番から、プライバシーを重視したものが目立つ)。主なポイントは以下の通りです:

  • プライバシー保護と迷惑営業の防止: 受付帳の情報が不動産業者や名簿業者により悪用され、相続登記後の所有者への執拗なDM、電話、訪問営業が精神的苦痛を招いている。改正により「登記の目的」と「不動産所在事項」を削除することで、個人情報の特定を難しくし、目的外利用を防ぎ、国民の平穏な生活を守れる。
  • 行政事務負担の軽減: 登記事務のデジタル化が進んだ現在、これらの項目は内部処理で不要となっており、開示請求の増加による法務局の負担を減らし、迅速・正確な登記処理を維持できる。デジタル化の特性を活かした効率化が国民の利便性向上につながる。
  • 情報公開の趣旨に合致: 受付帳は本来登記の先後関係を確認するためのもので、営業目的の利用は制度の趣旨に反する。不要な情報を削除することで、プライバシー意識の高まりに適合し、時代の要請に応える。

反対派の主な意見まとめ

反対派の意見は、情報の透明性と社会・経済的影響を重視し、改正が制度の根幹を損なうと主張しています。少数だが詳細な法的・経済的論点が多く、代替案の提案も見られます。主なポイントは以下の通りです:

  • 情報の透明性と知る権利の侵害: 受付帳の項目削除は憲法上の知る権利を剥奪し、行政の不透明化を招く。登記制度の公示性が損なわれ、不動産取引の信頼性が低下する。
  • 不正防止と権利救済の阻害: 項目がなくなると、二重譲渡や詐欺登記の検知・立証が難しくなり、裁判上の証拠喪失や不正登記の助長を招く。市場の動向分析やリスク評価が不可能になり、金融機関や企業への影響が大きい。
  • 経済・社会への負の影響: 不動産市場の流動性が低下し、情報非対称性が悪化。空き家問題の解決が遠のき、関連産業(広告、印刷、運送等)の売上減少や倒産を招く可能性がある。代替手段(全登記簿取得)はコスト高で実用的でない。
  • 代替案の提案: 削除ではなく、開示目的の厳格化や利害関係者限定公開、段階的施行を求める。

賛成派への理論的反論根拠

賛成派の主張(プライバシー保護と事務負担軽減)に対しては、反対派の意見から以下の理論的根拠で反論可能です。
根拠は反対意見の法的論点に基づき、判例や制度設計を引用:

  • プライバシー保護 vs. 知る権利の侵害 (憲法第21条): プライバシーの重視は理解できるが、受付帳は公的情報として国民の判断形成に必要なもので、非公開は「知る権利」を実質的に剥奪する。情報公開法の原則公開に反し、民主主義の基盤を損なう(根拠: 項番3,10; 判例通説で表現の自由に含まれる権利として保障)。
  • 事務負担軽減 vs. 公示性の崩壊と不正助長: デジタル化による効率化は認めるが、項目削除は登記制度の核心である公示性を破壊し、第三者検証を不可能にする。結果、不正登記(虚偽委任状等)の抑止力が低下し、国民の財産権保護義務を国家が放棄するに等しい(根拠: 項番3,5; 登記に公信力がない日本では公示性が代替、削除は不正を増大)。
  • 迷惑営業防止 vs. 権利救済の喪失 (憲法第32条): 営業悪用は問題だが、項目は訴訟での先後関係立証や権利回復の唯一の証拠。削除で裁判を受ける権利が侵害され、行政の自己検証性も失われる(根拠: 項番3; 判例例: 東京高裁昭和45年10月29日判決等で受付帳の記載が決定的意義)。
  • 時代の要請 vs. 市場・経済への負の影響: プライバシー意識の高まりは事実だが、改正は不動産市場の透明度ランキング低下(JLL調べ11位)を悪化させ、取引萎縮や情報非対称性を招く。代替手段(目的厳格化や限定公開)で対応可能で、全面削除は過剰(根拠: 項番6,7,9; 国土交通省の情報開示推進に逆行、空き家問題解決阻害)。
  • 全体的バランス: 改正は一部のクレーム対応だが、広範な社会的不利益(詐欺増加、産業影響)を無視。裁量権の濫用可能性があり、段階的モニタリングや影響評価が必要(根拠: 項番9,105,128; 情報公開法の限定性原則に違反)。

これらの反論は、改正が短期的な負担軽減を優先し、長期的制度信頼を損なう点を強調しています。