【どうする不動産業界?】不動産登記受付帳の制度変更による危機…

不動産登記規則の改正~プライバシー保護の要請~

2026年の不動産登記規則改正に向けて、現在パブコメの募集が行われています(8月8日まで)。この省令案により、登記受付帳の運用が大きく変わろうとしています。
「登記受付帳って何?」という方は以下の記事をご覧ください。

これまで、相続や売買による登記が法務局に申請されると、その内容は登記受付帳に記録され、行政文書として一般に開示請求が可能でした。これを利用し、一部の不動産業者や名簿業者が情報を取得・営業利用している実態があります。

登記受付帳には、申請の目的や不動産の所在といった情報が記録されており、これを通じて「相続や競売が起きた不動産」をリストアップすることが可能になります。こうした情報を基に、登記直後に所有者へ売却勧誘、不要品回収や相続関連業者からのDMが届くなどのケースが多数報告され、司法書士への疑念につながる苦情も出ています(※この部分については、司法書士があらかじめ相続登記をしたらDMがくるようになっている制度設計と実態を伝えてあげるべきだと思いますが…)。

実際、全国の司法書士に対するアンケートでは、約4割が「個人情報の流出を心配する相談」を受けた経験があると回答。背景には、法務省に対する行政文書開示請求の約6割以上が登記受付帳関連という実態があります。

【東京司法書士会の声明(令和7年7月2日)】↓↓↓

制度改正の要点と業界への影響

こうした事態を受け、法務省は2025年7月、「不動産登記規則等の一部を改正する省令案」を発表。
主な変更点は次のとおりです:

  • 登記受付帳に記録される項目から「登記の目的」「不動産所在事項」を削除
  • 対象となる省令は2026年10月1日施行予定

この変更により、登記の原因・中身が外部から把握しづらくなる一方で、不動産及びその関連業界の現場では新たな情報収集手段が求められることになります。

ただ、相続登記等の情報が閉ざされることで、不動産流通が滞れば、登記のニーズそのものが減少するリスクもあります。それは巡り巡って司法書士自身の業務量減少につながるのではないでしょうか…

<追記:R7.8.6>

東京司法書士会の意見が公表されています。

「本改正案では、施行期日を令和8年10月1日としているが、これを前倒しし、令和7年10月1日、遅くとも令和8年4月1日までに施行することを求める。

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